免疫力を強化し動脈硬化を予防!ガン治療にも有効

神奈川歯科大学名誉教授  いとうクリニック院長  伊藤 春生 先生



抗ガン剤などの副作用が軽減する

 
健康な人の体でも、一日に数千個ものガン細胞が発生していることが、近年の研究により判明しています。
それでも、ガンに冒されないのは、通常は、免疫力(病原菌や細菌を除去して体を守る力)が 働き、異常な細胞であるガン細胞を退治しているからです。
生活習慣の乱れや、ストレスなどによって免疫力が低下すると、 ガン細胞は増殖し、やがて体はガンに冒されてしまいます。

そこで、最近では、免疫力を高めて、 ガンをはじめとするさまざまな病を予防、改善しようとする考え方が浸透しつつあります。 なかでも、免疫力を維持・強化する免疫賦活物質を直接体内に取り込む方法は、大変有効です。

その免疫賦活物質として、最近、注目されているのが、 パン酵母から抽出されたベータ1・3Dグルカンです。 世界の研究機関や専門家によって数多くの研究報告がなされ、 その実効性と安全性が証明されています。

まず、ベータ1・3Dグルカンには、 ガン細胞を自滅(アポトーシス)に導く抗腫瘍作用があることが、 最近の実験で確認されています。 免疫細胞の一つであるキラーT細胞は、 ガン細胞などの異常な細胞を攻撃しますが、 ベータ1・3Dグルカンは、 このキラーT細胞をはじめ、 マクロファージやNK細胞といった免疫細胞の働きを活性化する働きがあります。 このため、病気を防ぐ力や治そうとする力が大幅にアップするわけです。

実際、ベータ1・3Dグルカンを摂取しているガン患者に、 抗ガン剤などによる治療につきものの副作用が軽減、抑制され たと実感している人は少なくありません。
これも、ベータ1・3Dグルカンの免疫力増強の効果によるものでしょう。 現在、日本人の死亡原因は、ガン、心臓病、脳卒中が上位を占めていますが、 ベータ1・3Dグルカンは、ガンに加えて、心臓病や脳卒中にも有効です。

二人のうち一人は血糖値が下がった


心臓病や脳卒中の引き金となる動脈硬化を促進させる要因として、 最近、話題を呼んでいるのが、メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)です。
現在、日本では、四十歳以上の男性の二人に一人は、 メタポリック症候群か、その予備軍といわれています。
四十歳以上の2000万人の該当者がいると推定されており、その数は今なお急増しています。

内臓脂肪が蓄積したぽっこりおなかに加え、 高血圧、高血糖(血液中の糖分量が多い状態)、 高血中脂質(血液中の脂肪量が多い状態)といった症状(危険因子)が二つ以上重なると、 心臓病や脳卒中になる危険性が3~10倍になるのです。

食生活の乱れや運動不足など によって内臓脂肪が蓄積されると、アディポネクチンというホルモンの分泌量がへります。
アディポネクチンとは、血糖値や血圧を改善し、動脈硬化を防ぐ善玉ホルモンです。 その善玉ホルモンの分泌量が少なくなると、 糖尿病や高血圧、 高脂血症(血液中のコレステロールなどが異常にふえた状態)になりやすいことがわかっています。
ベータ1・3Dグルカンには、血糖値の上昇をおさえる働きがあります。

また、内臓や血管を傷つけて動脈硬化を招く活性酸素を除去する、強力な抗酸化作用もあります。
これらの作用が相乗的に働くことで、血糖値、血圧の改善効果が期待できるのです。

実際に、27人の成人を対象に、ベータ1・3Dグルカンを8週間続けて飲んでもらいました。 そうして摂取前後の血糖値を比較したところ、 4週間後で約40%、8週間後には半数の人に、血糖値の低下が確認されました。

また、血圧では、4週間後でほぼ半数の52%、8週間後にはさらにふえ、 63%の人の血圧が低下しています。
同様に、総コレステロール値も、 4週間で二人に一人の割合で、改善効果が現れました。
こうした働きからも、ベータ1・3Dグルカンが健康増進に貢献することが大いに期待できるでしょう。

最近では、成分の抽出技術が進歩し、 ベータ1・3Dグルカンの成分を高純度化(80%以上)、 微粒子化できるようになりました。 これにより、安全かつ確実に活用することができます。 また、日本でもカプセル状の健康食品として市販されているようで、 より手軽にとることができるようになっています。