腸管免疫を強化!
米国研究論文で注目を集めるパン酵母抽出ベータ1・3Dグルカン

ハートフルクリニック院長 栄養情報担当者(NR) 平良 茂



抗ウイルス・抗腫瘍作用が確認された

 
 近年、現代人の免疫力(病気に抵抗する力)の低下が問題視されています。
実際、私の臨床経験から見ても、不摂生な生活習慣が原因で免疫力が低下し、 体調をくずす人は少なくありません。 免疫力の低下が問題視される中、免疫力を高めようとする治療法や健康法が 注目を集めるようになりました。

 そもそも人間の体には、自然免疫と呼ばれる、生まれつき備わった生体防御機構があります。 その中心的な役割を果たしているのが、マクロファージと 呼ばれる免疫細胞(免疫を担っている細胞)です。  マクロファージは、ウイルスや細菌など、体内に侵入したさ まざまな異物を素早く食べて処理します。
また、キラーT細胞といった免疫細胞に、 ウイルスなどの情報を与える重要な役割も果たしています。  キラーT細胞は、インフルエンザや麻疹(はしか)など、 毒性の強いウイルスやガン細胞を攻撃する免疫細胞です。 キラーT紳胞のような働きは、後天的に身につくもので、獲得免疫と呼ばれます。 特に、ガン細胞に対する獲得免疫を「腫瘍免疫」といい、 キラーT細胞などにガン細胞の情報を伝えるのも、マクロファージの仕事です。

 現在、免疫力を高める有効な手投の一つとして評価されているのが、 免疫賦活作用のある成分をとる方法です。
なかでも、米国医療ジャーナル誌で6000例以上の研究論文が発表され、 各国の研究機関から注目されるのが、パン酵母抽出のベータ1・3Dグルカンです。  ベータ1・3Dグルカンを摂取すると、口、食道を経て、腸壁を刺激します。 腸壁には、マクロファージが集結するパイエル板という粘膜があり、 その粘院を介してマクロファージが活性化します。

 これにより、自然免疫と獲得免疫がともに活性化し、 人体最大の免疫指令本部と呼ばれる、腸管免疫の機能強化につながるのです。  こうした免疫活性化の効果が注目され、 ベータ1・3Dグルカンに関する研究は世界的に行われています。 たくさんの研究報告の中には、 抗ウイルス作用、抗腫瘍作用が確認されたという報告も含まれています。  また、ベータ1・3Dグルカンには、 老化や病気の元凶である、活性酸素を除去する働きがあることもわかっています。

 私の経験からも、ベータ1・3Dグルカンで活性酸素が除去されることで、 ドロドロだった血流が改善することを確認できました。 同時に、血圧や血糖値(血液中の糖分量を示す値)を正常化して、 動脈硬化を予防・改善する効果も期待できます。  このような点から、ベータ1・3Dグルカンは、 話題のメタポリック症候群(内臓脂肪症候群)の改善にも効果があるといえるでしょう。

 さらには、活性酸素を除去する働きから、 シミやシワ、認知症(ボケ)、慢性疲労など、 さまざまな老化現象を防ぐ、アンチエイジング(若返り)効果も期待されます。

黄色い理想的な便に変わった


 ベータ1・3Dグルカンは、抗腫瘍作用のほか、 抗ガン剤治療による副作用を軽減することも認められています。
 実は、抗ガン剤の多くは、活性酸素を発生させてガン紳胞を攻撃する、非常に強い薬です。 過剰に発生した活性酸素が、ガン細胞だけでなく、 正常な細胞をも攻撃した結果、さまざまな症状が副作用として現れます。

 くり返しますが、ベータ1・3Dグルカンには、活性酸素を除去する働きがあります。 ですから、抗ガン剤と併用することで、治療の副作用を軽減しつつ、 腫瘍免疫を活性化する相乗効果も得られるのです。  実際に、私の病院に通うガン患者の中で、 抗ガン剤治療と併用してベータ1・3Dグルカンを飲んでいる人がいます。 その一例をご報告しましょう。

 乳ガンを患う50代半ばの女性は、 乳ガンの診断を受けた数年後に、 リンパ節への転移が見つかり、抗ガン剤治療を受け始めました。 治療の結果、転移ガンには顕著な変化があったものの、 乳ガンはやや大きくなっていることが確認されました。

 その後、抗ガン剤治療と並行してベータ1・3Dグルカンを飲み始めたわけですが、 現時点では、乳ガン本体には明らかな変化は見られないものの、 リンパ節転は著明に縮小しました。 同時に腫瘍マーカー低下しています。
 本人もベータ1・3Dグルカンを飲むようになって、 いくつかの変化を感じています。 以前より食欲が増したことに加え、それまでは焦げ茶色をしていた 便の色が、黄色の便に変わったという報告もありました。  一般的に、成人の便は大半が茶色です。 黒や赤、灰色といった便の色は、体内の異常を表します。

 彼女だけではなく、実際にべ一夕1・3Dグルカンを飲んでいる人の多くが、 黄色の理想的な便に変わったと実感しているようです。 この乳ガンの患者さんは飲み始めて二カ月半ですが、 今後の経過も慎重に見守りたいと考えています。

 最近になって、ベータ1・3Dグルカンを既存の医薬品と併用することで、 顕著な相乗効果が確認されたという報告が新たに届きました。 この成分の持つ可能性は、ますます大きくなっていきそうです。